三菱地所・サイモン株式会社
三菱地所と米国最大級の商業専業デベロッパーである Simon Property Group による合弁会社として 1999年に誕生。2000年の御殿場プレミアム・アウトレット開業を皮切りに展開を進め、現在では全国で 10施設を運営しています。
プレミアム・アウトレット公式:
https://www.premiumoutlets.co.jp/
三菱地所・サイモン株式会社:
プレミアム・アウトレットに Wi-Fi 環境を整備した三菱地所・サイモン。Cisco Meraki MRの導入によって混雑時も来場者が快適に買い物を楽しめる通信環境を実現しました。今後は Wi-Fi 7の最新技術を活かし、データをもとに新たな顧客体験やマーケティング施策の展開を目指します。
三菱地所と米国最大級の商業専業デベロッパーである Simon Property Group による合弁会社として 1999年に誕生。2000年の御殿場プレミアム・アウトレット開業を皮切りに展開を進め、現在では全国で 10施設を運営しています。
プレミアム・アウトレット公式:
https://www.premiumoutlets.co.jp/
三菱地所・サイモン株式会社:
アウトレットモールの開発や運用を専業としている三菱地所・サイモン。2000年の御殿場プレミアム・アウトレット開業を皮切りに、現在、日本全国で10カ所のプレミアム・アウトレットを運営しています。
「2010年代までの当社のビジネスは施設の数を拡大し、増設することが事業成長の原動力でした。現在は、お客様の購買行動の変化にタイムリーにアジャストし、最適なお客様体験を提供していくことに重点を置いています」と、同社のデジタル戦略部長である柿﨑一則氏は言います。
最適なお客様体験を実現する上で欠かせないのがデジタル技術です。三菱地所・サイモンでも、スマートフォン向けのプレミアム・アウトレット アプリを開発、また「PO PAY」という独自の決済サービスを組み込んでポイントプログラムと連動させるなど、デジタル施策を推進してきました。2024年にはデジタル戦略部を設立、デジタル技術を活用したお客様体験の向上を目指しています。
しかし、その魅力の裏側で、混雑時の通信品質の低下が顧客体験に影響していました。
「デジタル化を強化していくなかで、現状を把握し、課題を整理していきました」と語るのは、同社デジタル戦略部 大山 明子氏。特に早急な解決を必要とする課題の 1つとして持ち上がったのが、プレミアム・アウトレットにおける通信環境でした。同社のアウトレットモールは、非日常感を演出する立地環境、屋外ならではの開放感などを重視した『郊外型のショッピングリゾート』を特徴としています。この特徴が大きな魅力である一方、郊外型であるために混雑時に通信品質が不安定になるケースが生じていました。
「ゴールデンウィークやお盆、お正月など、多くのお客様で賑わう繁忙期にはアクセスが集中し、さらにつながりにくくなっていました」(大山氏)。その影響を大きく受けていたのがキャッシュレス決済です。「決済しようとしたのに通信環境が悪くてスムーズにいかず、お客様が買い物を断念してしまったら、テナント様にとっても重大な機会損失となり、お客様体験も低下します」と、大山氏は続けます。
このような通信の問題を解決するために、同社はお客様向けの Wi-Fi を整備する方針を固めました。
「携帯キャリアの電波に頼るだけでなく、自社で Wi-Fi を整備すれば通信の問題を解決できる上、独自のデータを取得してお客様体験向上のために活用できると考えました」と柿﨑氏は話します。
複数のソリューションを比較した結果、同社が採用したのが、Cisco Meraki MR でした。採用理由について大山氏は、「デュアルバンドやセキュリティ機能など、アクセスポイントに求める必要十分な機能を備えていたことに加え、管理性の高さを評価した」と語っています。
例えば、クラウド上の Meraki ダッシュボードを通じて複数のアクセスポイントを一元管理し、ネットワークの設定や変更、トラブルシューティングなどをそこから行えます。またロケーションヒートマップ機能ではアクセスポイントの利用状況を視覚的に把握でき、アクセスの集中が通信品質の低下の原因になっていれば、その場で設定を変更して対応することもできます。
さらにCisco Meraki MRは、サードパーティ製品との連携が行いやすく、マーケティング施策など様々な用途に応用できると判断しました。「アクセスポイントのアクセス状況は、お客様の行動と連動します。施設内の人流や滞在時間を把握できれば、より快適な施設づくりや効果的なサービス改善に活かせるはずです」と柿﨑氏は言います。
こうして Cisco Meraki MR を選定した三菱地所・サイモンは、シスコ販売パートナーでありシステムインテグレーターのテコム株式会社と連携し、通信品質の問題が深刻だった施設を優先して2024年秋頃から導入を開始。2025年3月末に複数施設で来場客への新しいWi-Fiサービスが提供されるようになりました。
「プレミアム・アウトレットは当社の施設ですが、個々の店舗については出店するテナント様が管理されています。そのため、アクセスポイントの設置位置に関しては慎重に検討していきました。Wi-Fi のカバー範囲はもちろん、アクセスポイント設置場所の耐荷重など、考慮することはいろいろありましたが、Cisco Meraki MR は取り付けやすさや外観面のいずれにおいても安心して導入できたと思っています」(大山氏)。もちろん電波調査も行い、ほぼすべての屋内エリアで問題なく接続できることを確認しています。
Wi-Fi 整備を終えたアウトレットでは、お客様に安定した通信環境を提供できるようになり、モバイルアプリの利用やキャッシュレス決済が中断するリスクを大幅に低減しています。
「ゴールデンウィーク期間中は、Wi-Fi 利用者が通常時の約 2倍に増えましたが、トラブルなく安定稼働していました。最新の Wi-Fi 規格を手ごろなコストで導入でき、費用対効果の面でも満足しています」と大山氏は評価します。
三菱地所・サイモンでは、Wi-Fi 7対応環境の拡充を計画しており、さらなる進化として、収集したデータを活かしたパーソナライズドなサービスや、リアルタイムなマーケティング施策の実現を目指します。Wi-Fiネットワークが顧客一人ひとりの体験を変えていく起点となります。
データ活用について大山氏は、「Cisco Meraki MR の管理画面でロケーションヒートマップ機能を使えば、どのアクセスポイントにアクセスが集中しているかがすぐにわかります。これから導入する施設については Wi-Fi 7 に対応した新モデルを採用する予定となっており、さらによいお客様体験を提供できると考えています」と語っています。
アクセスポイントから得られるデータは Wi-Fi の運用だけでなく、イベントの賑わいの把握、エリアごとのお客様の行動傾向の把握などにも応用できます。実際、すでに開始しているデータ活用プロジェクトでは、Wi-Fi に接続したデバイスのデータやプレミアムアウトレットアプリのデータを分析して、お客様にパーソナライズしたサービスや情報提供を行うマーケティングオートメーションの実現を目指しています。
「当社が究極的に目指すものは最適な CRM システムの構築です。そのためには、お客様を高い解像度で理解するための様々なデータが必要になります。Wi-Fi 環境を整備したことで、特別な調査を行わずとも得られるデータが増えました。データ活用やマーケティング活動の観点では、効果を実感するのはまだこれからだと思いますが、顧客理解をさらに加速させるための基盤として大いに期待しています」と柿﨑氏は話します。
新たに整備した Wi-Fi を活かして同社がどのようなお客様体験を実現していくのか、三菱地所・サイモンのデジタル戦略は、これからも続きます。
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